従軍慰安婦の問題で日中・日韓関係はおろか日米関係もゆれています。こういった論争いつまで続くのでしょうか?強制連行があったとかなかったとか、謝罪すべきとか必要ないとかです。同じように南京事件(南京大虐殺)においては、「一般市民への虐殺はなかった」という意見から「数十万人単位の虐殺があった。」とかいう論争があります。ちょっとその幅が大きすぎるのではないでしょうか?
アメリカの司法制度でディスカバリーという手順があります。裁判が始まる前に原告・被告がお互いに関連する情報開示を要求しあうのです。基本的にその開示要求を断る事はできず、また「そんな資料はない。」とウソをついて開示しないと裁判所からとんでもないペナルティーを科せられます。米国弁護士に言わすと、「ディスカバリー手続きが終った時点で大体双方がなっとくできる妥協点が自然と浮かびあがるので、裁判で最終判決まで争わなければならないケースは1%ぐらいなもの」だそうです。
日本もアジア諸国との過去の問題についてちゃんとディスカバリーをすればどうでしょうか?例えば南京事件であれば当時の南京住民の戸籍・職業・軍の人数・配備・補給の実態・すべての通信文・等々の関連する資料をすべて公開するのです。同時に中国側にもその当時の資料を公開してもらえばよいでしょう。
こういった公開、ウエブ上にサイトを作って行って誰もが見れるようにした方がよいと思います。公的な資料ばかりでなく、日韓中の一般市民がその当時に出した手紙や書類のコピーの掲載も受け付けてよいかもしれません。事実を歪曲しようとする人や団体もいるかもしれませんが、膨大な資料・統計があつまれば、整合性のない資料は必然的に信頼度が低いとみなされるでしょう。WIKIペディアが運営されるような形も参考になると思います。
そういった情報・資料の集積から誰もが納得できる最低限の事実が浮かび上がると思います。それをみて、日本側として「あらためて心から謝罪すべき事があった。」と思うかもしれませんし、中国・韓国側も「日本がした事はやむをえない事だった。また悪い事ばかりでもなかった。」と認識するかもしれません。いずれにしても今の南京事件のような「虐殺はなかったVS数十万人の虐殺」といった極端な論争はなくなると思われます。
(情報開示しないときにどれだけ相手が不信感をもつかは、イラク戦争後にアメリカが大量破壊兵器を見つけられなかった事でも明らかです。)
謝罪する、しない、というと政治的・国民感情的にコンセンサスを得るのが難しいでしょう。しかし坦々と客観的情報を開示するだけであれば、それ程の抵抗なくできるのではないでしょうか?そして日本にとって都合のよい情報も悪い情報も分け隔てなく開示する事で新しい日本の姿勢を印象づける事ができ、また今後のアジア諸国との信頼関係を構築する礎になると思います。
by 大澤
コメント